前回は分業化が「情報の精度」や「スピード」という、重要な顧客価値を棄損しかねないと書きました。
しかし分業化は顧客価値の低下に留まらず、そこで働く社員にも悪影響があると、私は思っています。
具体的には、社員が感じる仕事の「やりがい」の低下です。
分業することで、それぞれの仕事はシンプルになりますが、バリューチェーンが分断されて、顧客の顔が見えにくくなります。努力して成果が出ても、顧客から感謝を受けとる機会が減り、自分の仕事の価値(意味)を実感しにくくなるのです。
また仕事がシンプルになること自体が、やりがい減少の一因でもあります。一般に、仕事は複雑である方が、成果までのアプローチに多様性があり、自分らしさを発揮する余地が多いと言えます。仕事は難しいからこそ、習熟の喜びを感じたり、成長感が得られるのだと思います。
このように、分業化は仕事の「意味」や「成長感」に影響を与え、やりがいを低下させると、私は考えています。
それゆえ当社では、たとえ多少の生産性を犠牲にしても、コンサルタントは一気通貫の「両面型」にこだわりたいと思っています。
それが顧客価値を高め、また社員のやりがいも高まり、結果的に、当社の競争力が高まると考えているからです。
連載となった「業界の問題」シリーズも、一旦は、今回を最終回とします。
冒頭で触れたように、これら「業界の問題」全てに、私が解決策を持っている訳ではないですが、問題を自覚して事業を行っています。
一般的に、質の悪い商品やサービスを提供する事業者はリピートされず、中長期的には排除されていくものです。ただ転職支援サービスに関しては、利用者の購買頻度(転職回数)が低いため、この力学が働きにくい面があります。
それゆえ求職者にとっては、最初に相談するエージェント選びが非常に重要です。
今回のテーマが、皆さんのエージェント選択の参考になれば幸いです。
当社も、皆さんに選ばれるエージェントであり続けられるよう、精進してまいります。
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