前回から、人材紹介業界の問題というテーマで書いています。
顧客(価値提供対象)が2つありながら、課金は一方のみという非対称性について書いてきました。
今回はその続編です。
課金対象が一方となると、この事業の構造は「商材を仕入れて顧客に販売する」という流通業(小売業・卸業)に似ていることに気づきます。
これを人材紹介業にあてはめると、商品は転職を希望する求職者であり、販売先が求人企業となります。
(あくまで例えとしてお読みください)
流通業が収益を上げるためには、販売量を増やすことはもちろんですが、同時に仕入れた商品の在庫回転率を上げること(仕入れから販売までのリードタイム短縮)も非常に重要です。
つまり求職者と接点を持ってから、いかに早く転職してもらえるかが、収益性を大きく左右するのです。
転職相談には来たものの「なかなか求人に応募しない」「活動を開始しても内定を獲得できない」求職者は、せっかく仕入れたのに販売できない、いわば滞留在庫となります。
そのため、多くの大手人材紹介会社では、初回面談日から求人応募までの日数や、内定獲得までの日数が、業績を管理するKPIになっていたりします。
相談に行くと「まずは応募してみましょう」と、やたら応募を促されるのは、そんな背景も影響しているのです。
そして転職相談の登録から一定期間(3か月程度)を経過すると、サービス終了となるか、「滞留在庫」専任のキャリアアドバイザーへ担当変更となるか(数百名規模で担当しています)、人を介さないシステム中心のサービスへと移行します。
事業者側は生産性を上げるための仕組みと考えますが、転職相談・登録を促す「人を介したサービス」「中長期サポート」等の広告コピーを思うと、複雑な気持ちになります。
当社のような零細エージェントには、そもそも業績管理という観点が(ほぼ)ありません。
(自慢ではないですが)
せっかくご縁があった求職者には「それぞれが最適と思うタイミング」で活動して欲しいですし、「人生がよりハッピーになる」という軸で転職して欲しいと、心から思っています。
転職ありきではない相談、中長期にわたるキャリア相談なども、お待ちしております。
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