21世紀に目覚ましい成長を遂げた企業の調査によると、「成長の理由」のほとんどは「市場の成長(新市場の創造含む)」によるそうです。
企業が成長する方法というのは「市場が成長する」か「(市場規模は一定あるいは縮小する中)市場シェアを獲得する」の2つしかありません。この調査によると「市場の成長」が理由であるケースがなんと9割以上であり「市場シェア獲得」は1割未満であったそうです。
これは、とても興味深い結果だと思います。多くの企業は日夜、既存市場における競合分析、自社の強み・弱み分析など行って、自社の差別化や優位性確保に努力していますが、これらの活動は、実はあまり意味がないのかもしれません。それよりも、自らが属する市場の成長性を見極めて、状況によっては市場を乗り換える、戦い処を成長市場にシフトしていくことが、より重要だと理解できます。
成熟した非成長マーケットでのシェア獲得競争というのは、実は戦略として筋が悪く、例え独自の強みがなくても、成長マーケットに乗った方が、成長できる可能性が高いということを示唆しています。「何をするか」「どう戦うか」よりも「どこにいるか」が非常に重要なのです。
翻って、これは企業の成長戦略だけでなく、私たち個人のキャリア戦略においても同じことが言えないでしょうか?私たちはキャリア議論で「何をするか」「どう戦うか」ばかり話題にしがちですが、「どこにいるか」にもっと注目してもいいように思います。
どんな経験を積んで、スキルを伸ばし、資格をとって・・・ということも重要ですが、それ以上に、成長する業界で、成長する企業で働くことが、個人の成長にも大きく影響を与えるということです。
成熟した業界でポジションを得ている企業は、(一見)経営の安定性こそありますが、組織が硬直的なことも多く、大きな仕事を任されるまで時間がかかりがちです。一方、新しい市場で急成長する企業は、急成長ゆえの混沌もありますが、任される仕事の幅や責任が大きく、その分、個人の成長もはやいという観点です。
人生は、自分の能力や努力以上に、環境やタイミング、あるいは運が影響を与えることも多いです。それらを味方につけるためにも、時には一歩引いて「勝ち馬」を探してみては、いかがでしょうか?
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